レヴィオルストーリー3
ディルネの問いにアレンを見ながらニヤリと笑い、ジリルは首を横に振った。
何故、と訊く声を遮り、ベッドに腰掛け話し出す。
「しばらくこの状況を楽しもうではないか。
何も知らない天使が足掻く様、しかと見てくれる」
「あら。それもいいですわね」
父の言葉に怪訝そうにしていた表情をガラリと変え、ディルネは微笑んだ。
それから遠くを見るような瞳をしながら、自分の短めの銀の髪をすく。
「せいぜい頑張りなさい、天使。それが報いよ」
「あぁ。必ずメイアの仇はとる」
娘の言葉にジリルは目を細め呟いた。
メイア、と口にした瞬間、二人の悪魔は懐かしいような悲しいような、なんだか微妙な表情を浮かべる。
「…卑劣な天使共に制裁を。
私の大事なメイアの為にも、奴等がした罪は決して忘れさせはせぬ」
立ち上がったジリルの吐いた言葉は、とても憎しみに満ちたものだった。
悪魔の長はそのままディルネの額にキスをし、「おやすみ」と声をかけると部屋を去っていく。
「……父様の為にも、私の為にも、…母様の為にも頑張ってね。
私の勇者くん」
部屋に残されたディルネは一人呟き、眠る青年の頬に父がしたようにキスをした。
「絶対に、逃がしてあげないんだから」