レヴィオルストーリー3
13.長の娘
窓も棚も机も椅子も、何一つない広い部屋。
そこに唯一ある大きなベッドで、横たわる青年が眠りから目覚めた。
「……ん…」
瞼を押し上げ、天井を眺める。
…あれ、天井が灰色だ。
部屋の天井白じゃなかったっけ。
つかルルアン家にいるんだった。
あそこは天井は木だったよな…?
現実逃避なのか単に寝惚けているのか。
どちらだと聞かれたら、低血圧な彼だから確実に後方なのだろう。
そう、アレンは寝惚けていた。
頭がクラクラするとか気にしない。
どうせあの矛の薬品のせいだろ、
……ん、薬品?
「………あ、悪魔…」
どうやらやっとお気付きになったご様子。
勇者アレン様はぼそりと呟き、それから上半身を起こした。
そしてその瞬間、襲いかかる痛み。
「……つっ…!」
痛む左腹に手を回し、アレンは少し呻いた。
そういえば怪我したんだった、と考えそこを見る。
そして、
「………は?」
意味が分からない、とばかりにそんな短い言葉を発した。