レヴィオルストーリー3
アレンが見たのは自らの左腹
――…に添えられた右手首。
そっと顔の前まで持ち上げると、じゃらり、ともれなく音がついてくる。
…いや、いらないけど。
…ほんとに、まじでいらない。
「………ありえねー」
自分の手首についたそれを見て、思わずアレンは溜め息をついた。
彼が見たもの、それは紛れもなく――手錠。
太い石で出来たガッチリとした輪が手首にはめられ、そこから鎖が伸びていた。
よく見たら足にもある。
鎖はベッドの下にまで続いていた。
「まためんどいことに…、っ、痛いし…」
うんざりしながらもまた怪我に手を添え、とりあえずは治そうと治癒魔法をしようとした。
しかしいつまで経ってもいつまでやっても、魔法は一向に発動されない。
「……ジュルスの石か。まじで殺すぞクソ悪魔…」
とうとう諦めたアレンはばたりとベッドに背中から倒れた。
ちなみにジュルスの石というのは、最近ダルヌクで発見された魔力を封じる鉱石。
ダルヌク国の人間は、国の地下に眠るあの鉱石のせいで魔力を持たずに生まれると考えられている。