レヴィオルストーリー3
ふいっと目を逸らし、壁に背を預け言う青年。
ディルネは今更だがジロジロとその顔を観察し、それからニヤリと笑った。
「…なら、焦らせてあげる」
――…そんな艶やかな声と共に、ギシッとスプリングの軋む音。
バッと振り向いたアレンが見たのは、自分のいるベッドに乗り込んでくる悪魔。
「な…っ!?」
「ふふ、焦ってるじゃない」
にっこり笑って言うディルネ。
彼女は逃げようと身を捩ったアレンの腕を掴み、更に彼の怪我に手を宛てた。
途端に抜ける、今にも女性を突き飛ばしそうだった青年の力。
「っ…!」
「痛い?」
「は、離…っ」
「いい気味。思い知った?」
「っ誰…が!やめろ!」
叫び、アレンはディルネを蹴飛ばした。
息荒く睨み付け、怪我を庇うように手をかざす。
「…俺に触るな」
「いったぁ~い。女のコ相手に酷いことするのね」
「黙れっ…」
すっかり警戒するようになったアレンに、ディルネはふぅと息をついた。
失敗だったかなぁー、などと呟きながら、手についた青年の血をなめる。
その様子にゾクリと寒気を感じ、アレンは咄嗟に目を逸らした。