レヴィオルストーリー3
「――…!」
囁くと同時にアレンの肩に手を置き、ディルネはまた青年の腹に手を伸ばした。
悪魔がよく着るような黒い服の裾を捲り、包帯をしげしげと眺める。
「…そろそろ、包帯換える?」
「……いらない」
「あら、そう」
あんまり放ってると細菌が入り込んで感染症になるわよ、と言いながらクスリと笑う悪魔。
彼女は何もせずアレンから離れると、ベッドを降りていった。
ホッとする勇者に気付いているのかいないのか、扉に向かい歩く途中にくるりと振り返る。
「また来るわね♪」
そう言い残しいなくなった悪魔が去った扉を、アレンはしばらくずっと睨んでいた。
それから座っていた身を横たえ、しかめっ面して考える。
(早く逃げないと色々やばそうだ…)
今度あの女が来たら、何されるかわかったもんじゃない。
採血、などと言われて血を採られるかもしれないし、とにかくこの怪我が結構な痛手だ。
別に、動くことは出来る。
でもここを攻撃されたらキツイ。
(背中のがまだよかった…)
そううんざりするアレンを他所に、外では悪魔たちがざわざわと動き出していた。