レヴィオルストーリー3
「やぁ、勇者様。気分はどうだ?」
相手が自分の名を言う呼び方が変わったのには気付かないフリをする。
ジリルはアレンが目を覚まして以来、はじめてこの部屋を訪れた。
「……………………。」
「…そう睨まないでほしいな。それから、身を起こせ」
いかにも愉快そうに笑ったジリルは、アレンが上半身を起こすのを待ってそれからベッドに腰を落ち着けた。
なおも睨んでくる青年にその銀色の目を向け、ニヤリと小さく笑む。
「騙された君が、悪いんだよ」
「……………………。」
「君に目をつけて、それから準備をするのに実に一ヶ月もかかった。
かのレヴィオル国勇者を襲うんだから、それほどに精力を尽くして覚悟しなければいけなかったんだよ。
一応選りすぐりのメンバーを出したのに、君はそれを半数以上も無傷で倒してしまうし」
「…選りすぐり?」
そんなに強くはなかったけど、と眉を潜めるアレンに、ジリルは目を細めると体を揺らしてまた笑った。
そこで笑う意味がわからず、アレンは首を傾げる。