レヴィオルストーリー3
「君は…メディン=ローリーを師にしているんだな」
怪訝そうに自分を見やる青年に、悪魔の長はそう語りかけた。
アレンは頷くものの、何故知っているのかがまたわからず更に眉根を寄せる。
その表情を見たジリルは、ふっと息を吐くと静かに目を伏せた。
「…君を襲った時のことを、ディルネに詳しく聞いたのだ。
どうもやり方が彼に似ていると思ってな」
「…メディンさんを知ってんのか」
あぐらをかいて布団に座り、訊ねたアレンにグロアは驚く。
自分の状況をわかってそんな態度をしているのか。
しかしジリルは気にすることなく口元で弧を描く。
「…昔、一度だけ会った。君の父親と一緒に。側近だったからな。
あの時メディン=ローリーは数ある防御魔法を破って…42代目勇者をこの国に導いた」
「…防御魔法?」
「天使共への対策だ。君も知っている通り、我ら悪魔は何があろうとこちらに利益がない限り、他民族を国には入れやしない。
もちろんその時も出来る全てをやったのだが、あの男の前には無意味だった。
私はあの二人組こそ最強のコンビだと思う」
そこまで言ってジリルは一旦口を閉じ、それからアレンを真っ直ぐに見つめた。
その目に少しアレンは戸惑う。
自分を連れ去り、利用しようとして。
…それなのにどうして、そんなに真っ直ぐな瞳をしているのか。
意志を読めはしないものの、その瞳は力強い光を持っていた。