レヴィオルストーリー3

「君は…メディン=ローリーを師にしているんだな」


怪訝そうに自分を見やる青年に、悪魔の長はそう語りかけた。


アレンは頷くものの、何故知っているのかがまたわからず更に眉根を寄せる。


その表情を見たジリルは、ふっと息を吐くと静かに目を伏せた。



「…君を襲った時のことを、ディルネに詳しく聞いたのだ。

どうもやり方が彼に似ていると思ってな」


「…メディンさんを知ってんのか」


あぐらをかいて布団に座り、訊ねたアレンにグロアは驚く。


自分の状況をわかってそんな態度をしているのか。


しかしジリルは気にすることなく口元で弧を描く。



「…昔、一度だけ会った。君の父親と一緒に。側近だったからな。

あの時メディン=ローリーは数ある防御魔法を破って…42代目勇者をこの国に導いた」


「…防御魔法?」


「天使共への対策だ。君も知っている通り、我ら悪魔は何があろうとこちらに利益がない限り、他民族を国には入れやしない。

もちろんその時も出来る全てをやったのだが、あの男の前には無意味だった。

私はあの二人組こそ最強のコンビだと思う」


そこまで言ってジリルは一旦口を閉じ、それからアレンを真っ直ぐに見つめた。



その目に少しアレンは戸惑う。



自分を連れ去り、利用しようとして。



…それなのにどうして、そんなに真っ直ぐな瞳をしているのか。


意志を読めはしないものの、その瞳は力強い光を持っていた。






< 211 / 500 >

この作品をシェア

pagetop