レヴィオルストーリー3

「…だからと言って希望はないぞ。彼は君を助けには来ない。なにせ昔と入口が変わったからな。

アレン=ブロドニス、第44代目レヴィオル国勇者。君には私達の目的が達成されない限り、一生行方不明でいてもらう」


「……………………。」


「知っているだろう?悪魔には魔力の強い血が必要だ。

君ほど惜しい人材はない」


「………あっそ」


その真っ直ぐな瞳をしたまま、彼はアレンを見つめ真顔で告げた。


その様子に本気だと悟ったアレンは、ふいと視線を逸らして素っ気なく返す。




…本当に、自分でどうにかするしかない。



鎖やら手錠やらが擦れた手首や足首は、赤くなって傷んでいた。




「だから、運ばれる食料は食べたまえ。死なれてはこちらが困る。

いいか、グロア。無理矢理にでも食わせろ」


「は、はいっ」


手がつけられていない盆の上の昼食を目にし、ジリルは溜め息をついた。


声をかけられたグロアはビクリと肩を震わせ、上擦った声で返事をする。




「じゃあな、私は忙しいのだ。わざわざ食事のことで来てやったのだから、感謝しろ。

捕らえられているわりに君の待遇はいいのだから」


「……………………。」





< 212 / 500 >

この作品をシェア

pagetop