レヴィオルストーリー3
さらりと敵の筈のグロアに言い、アレンは今度はすっかり冷めてしまったココアを飲んだ。
彼を見つめる少女は戸惑いながらもスープを渡す。
「情報収集って、何を?」
「ここの出入口とか」
「!」
スープを受け取りそれを口に運んだアレン。
彼は驚き目を丸くする悪魔を見て、ふと口元に笑みを浮かべた。
得意気、というより自信に満ちた表情に、グロアはまさか、と困惑気味に囁く。
「……逃げる気…なの?」
「あたりまえ」
「無理よっ!だってあんたそこから動けないし、…なに?」
必死に捲し立てるグロアを制止し、アレンは今度はサラダを要求した。
言葉を遮られたグロアは憤慨しながらもそれを取ってやる。
「…ありがと。そうだな、俺は動けない」
「じゃあどうやっ…、うきゃあ!?」
またもグロアの声は途中で途切れた。
しかし今度は彼女の悲鳴付き。
事態が飲み込めず、悪魔の少女は銀色の目を見開き彼を“見上げた”。
「……グロア、が協力してくれたら、逃げれるんだけどな」
「…………!」
――…目の前には、薄く笑う曖昧な髪色の青年。
そしてその彼の手には、先程渡したサラダに添えられていたフォークが。
フォークはグロアの喉元を捉え、その先を向けていた。