レヴィオルストーリー3
「グロア、どう?勇者は食べたかしら??」
カツンカツン、とヒールを鳴らしながら入って来たのは、少女の姉である悪魔ディルネだった。
彼女は空になったお盆に目を向けると意外そうに醒目し、ベッドに倒れるアレンをまじまじと見つめる。
「どうやったのグロア?正直予想外だわ」
「ジリル様が来たの。それで、無理矢理にでも食わせろって」
グロアが微笑みながら言うとディルネは納得し、「あんたも結構やるわね」と自らの妹を褒めた。
姉に褒められて嬉しそうにはにかんだグロアは、唯一残っているサラダをそそくさと片付ける。
「でも、怪我のせいか食欲が元からなかったみたい。サラダの途中で力尽きちゃったっ」
「あらそう。じゃあそれは起きてからね。勇者は寝てるのよね?」
「うん」
目を閉じているアレンを確認し、頷くグロア。
ディルネは満足そうに口元で弧を描くと、妹の頭を撫でてからカツカツとベッドに歩み寄った。
アレンを見下ろししばらく見つめた後、スッと手を伸ばす。
その色白な細い手は、壊れ物でも扱うかのようにそっと青年の頬に添えられた。