レヴィオルストーリー3
「ない…?」
一通り探したところで、アレンの口から出た言葉がこれ。
バレない程度の弱い魔法を駆使し、倉庫をしらみ潰しに調べたが目的の物はどこにもなかった。
場所が違ったのかと疑い、とりあえずはグロアのところに行くかなと考える。
「……それにしても…」
──…本当にここは使われてるのか?
いくらなんでも汚すぎる。
こうやって外に出ようと扉に向かい歩くだけでも埃が宙を舞うし、何しろ置いている物自体が少なすぎるし。
「そのわりに見つからないよな…」
怪我を負っている腹を庇いながら扉を開き、アレンは溜め息をついた。
この傷、立ってるだけでも結構痛い。
魔法をもう使えるのだから治せばいい話なのだが、この深手に治癒魔法を使えば魔力の波動が大きくなってしまうのは目に見えている。
結果、見つかってまた集団で来られれば、グロアの立場もないしアレンも危ないだろう。
仕方ない、と眉を潜めアレンは微かに治癒魔法を発動した。
ちょっとずつ、治していこう。
バレないように、それでいて自分がへばらないように。
体力は少しでも残しておいた方がいい。