レヴィオルストーリー3
「おいどうした!」
先程あっさりアレンに一発KOされた看守の片割れが、偉そうに威張って牢屋に近付く。
エレス族だという五人は、一斉に看守を強い目で見上げた。
他の牢屋に入っている数十人は、ビクビク怯えて隅に固まるだけ。
ルネに至っては興味なさげに壁にもたれてぼーっとしていた。
「何があった!」
「何も。喧嘩しただけよ」
「喧嘩だと?」
嘲笑うように女性を見下す看守。
彼は牢屋に入ると、女性を繋ぐ鎖に手をかけた。
囚人は牢屋内は動けるものの、あれのせいで外には出られないらしい。
「喧嘩など無許可にするな。また殴られたいか?それとも血を採られたい?」
看守は脅し文句を並べ愉しそうに笑った。
それを見たアレンは胸糞悪い気分になる。
──…どうしてこの国は、ああいう輩が多いのだろうか。
「喧嘩に許可がいるなんて聞いたことないわ」
女性は看守を見上げながら呆れたような顔をした。
その表情に馬鹿にされたと悟った看守は、真っ赤になって彼女を殴ろうとする。
しかし、それはかなわなかった。