レヴィオルストーリー3
「大体さぁ、五人いるところに一人で入るとか馬鹿だよね」


そう吐き捨てた少年が、看守の膝裏に自分の膝を入れる。


要するに、膝カックン。



不意をつかれた看守が膝を地につけたところで、銀の瞳の男性がその頭を思いきり殴った。



(うっわ…)


容赦ない。



あのアレンが引くぐらい、五人は集団で看守をタコ殴りにしまくっていた。


少年とそっくりな少女までもが、その暴行という仕返しに参加している。





「ふぅ…。よし、と」



完璧に看守が気絶したところで、五人は何故か一斉にこちらを見た。



見えない筈だが隠れるところを見られたのでわかるのだろう。


さっきからガタガタ震えているグロアを後ろに庇い、アレンはその視線をあえて無視した。



嘘をついて助けてもらったのには感謝してるが、出来ればあまり関わりたくない。



めんどくさがりな性格をまたもいらぬ場所で発揮させ、勇者はそもそもこの場にいることをとてつもなく後悔した。




「ちょっと、いるんでしょ。出てきなさい、ナティアの子供」


軽く現実逃避していると、あの女性の声。


クナルが毒薬片手に怪しい笑みを浮かべているときのあの悪寒と似たものを感じたアレンは、リィを半泣きのグロアに渡し仕方なく姿を見せた。



…そうしないと、後が怖い。





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