レヴィオルストーリー3
「こいつの記憶、消して。階段から落ちたことにしなさい」
アレンが牢屋の真ん前に来てから、女性は真顔でそんなことを言ってのける。
開いた扉を見つめる青年に女性は看守を指差して見せた。
…天下のあの勇者アレンが、囚人にこき使われそう。
その光景にグロアは開いた口が塞がらなかった。
「…記憶を消すのは出来るけど…書きかえると魔力が強くなるからバレる」
アレンはさして気にする様子もなく看守を見下ろしながら言う。
本当は一年半前北に向かうときにやったように感知出来なくさせれるのだが、…あれは色々とめんどくさい。
発動の仕方も解除の仕方も、複雑なのだ。
それに、それは“魔術”だから発動する一瞬は物凄い魔力が生まれる。
すると悪魔に場所が割れる、というワケなのだが。
「出来るんでしょ?知らないと思ったら大違いよ。ナティアの子供なら余裕でしょうに」
だが相手は気にしない。
こう言う女性に思わず舌打ち。
しょーがねぇな、と溜め息をついたアレンは、開いた牢屋の扉に手をかけ中の五人を見渡した。