レヴィオルストーリー3
「か、隠すことでもないじゃん」


完璧にビビったグロアが必死になって弁明する。


溜め息をついたアレンは、少女の額を小突くと何事もなかったかのように囚人らに目を向けた。



「…どう?」


「……どうって…、そんなの無理に決まってるでしょ!大体この手枷やら足枷の鍵がどこにあるのか知ってるワケ!?」


固まっていた女性がハッとして威勢よく食い付く。


アレンは言っただろ、と眉を潜めると、「俺は脱走した囚人だ」と繰り返した。



「は…?意味が…」


「こういうこと」


怪訝そうな表情をする女性に、自分の手首を見せる。


手枷が擦れて赤くなったそれに囚人達は目を見開いた。



「あんた、手枷外したの!?どうやって!?」


少年がキラキラした顔で訊ねると、アレンは自身の腰にさげた剣を指差す。


何故かグロアが得意そうに笑うなか、囚人達は今度は目を点にした。




「……まさか…斬った?」


「おう」


「嘘…このジュルスの鋼鉄を?」


「あたしもビックリしたっ!凄かったよぉっ」


グロアがアレンの腕を掴んで言う。


青年は嬉しそうな少女を一瞥すると、囚人達にまた顔を向けた。




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