レヴィオルストーリー3
16.主のいない城
「…で、どうしたんだ?」
ウリナがエニスとユナルにこぶ茶を出す。
イルを呼びにいったが赤ちゃんと眠っていたので、ギルクは一人で二人と向き合いながら首を傾げた。
「あぁ、まずは結婚と出産おめでとう」
「おぅっ、さんきゅな!」
ニカッと笑って礼を言う、一気に夫と父親になったギルク。
エニスはそんな彼を眼鏡の奥から眺め、切れ長の目を細め微笑んだ。
それを見てギルクはやっぱり思う。
(…アレンと似てる)
容姿ではなく、性格や仕草が。
アレンが勇者になりエニスがカルアシティの街長になってから、旅をしていたときより遥かに親交を深めたギルク達。
前から思っていたのだ、二人は似ているな、と。
一度がらりと変わった性格は、少なからず周りに影響を受けるのだろうか。
アレンのあの過去に想いを馳せながら、少しそう思った。
「ごめんなさいね、急に訪ねて…」
ユナルがこぶ茶を口にしながら言う。
エニスがどうしてもって言ったのよ、と苦笑しながら、彼女は夫であるカルアシティ街長を見上げた。
見上げられたエニスはこぶ茶が口に合わなかったのか、渋い、と呟いてそれをテーブルに置く。