レヴィオルストーリー3
そういうことではないのだけれど。


たまたまだ、そう言おうとしてアレンは口をつぐんだ。

言う必要もないし、そう思ってもらっていればこの国から何か仕掛けられることはない。


そんなワケで、勇者は曖昧に笑っておいた。


そして、今最も重要な話を口にする。



「マケドニスがどこに行ったか、ご存知ですか」


「うん?…あぁ。選りすぐりの臣下を連れて森へ行ったよ。…君を助け出す為にね」


「…わかりました。ご迷惑おかけしてすみません」



…本当に、自分があんなことにならなければ、こんな面倒なことにはならなかったのに。


そう自らを呪いながら、アレンはゆっくりと立ち上がった。

そんな彼をハルアが不安げに見上げる。


「…ハルア、お前は皆をここに連れてこい。森までは一緒に行くから、道覚えとけよ」


「わかった。アンタも大変ね」


「…いや、俺が悪いから」


ハルアの労りの言葉に何だか複雑になりながらも、アレンはそれを溜め息にすることで片付けた。


そうして皇帝と后妃にお願いします、と頭を下げて皇居を一旦去る。





< 295 / 500 >

この作品をシェア

pagetop