レヴィオルストーリー3
第七章◆
「どうしてですかジリル様!」
──…ジスカルの王室。
そこに呼ばれるでもなく自ら赴き、ディルネは父親に抗議をしていた。
「どうして逃がしたの?扉が開いた時点で気付かれたんでしょう!?」
喚くディルネに対しジリルは無言。
テーブルに肘をつき両の手の指を絡ませ、目を伏せ娘の訴えを聞いていた。
「あれは逃がしてはいけなかった!挙げ句の果てに囚人たちまで…!」
「……………………。」
「私達はあの血がないと生きていけません!」
最後に思いきりそう言い、ディルネは微動だにしない父を見下ろした。
彼女が言い終わったと察したジリルは、王座から腰を浮かしもしないで娘を見上げ、やっと口を開く。
「……言いたいことはそれだけか、ディルネ」
「………っ、はい」
「……よかろう」
呟いたジリルは立ち上がり、今度は自分が相手を見下ろした。
先程までの勢いはどこへやら、ディルネは少し怯むと戸惑いがちに父を見上げる。
「まず言っておくが、あれはお前の失態だ。勇者はお前に任せると言っただろう」
「でも父様…」
「ジリル様と呼べ。何故私がお前の失態の尻拭いをしなきゃならん」
「……………………。」