レヴィオルストーリー3
黙って聞いていたアレンは眉を潜めたまま頷いた。

隣でマケドニスが表情を歪ませている。

クナルは奥で眠るリルを気にかけながらも、マケドニスの傍で黙り込んでいた。



「ジオン様がラレスカを捨てる決意をした時、もう諦めたつもりだったんだけど…」


やっぱり改めてもう駄目だとわかるとキツイわね、とハルアは無理して笑った。

五人以外にエレス族はいなかったのだから、きっとジスカルで他の仲間は亡くなっていったのだろう。


その中にはハルアと双子の母親もいる筈。


母親との思い出の地に戻りたかったのだろうと察したが、アレンには何も言えなかった。



「ナティアは生きてたのよね。現に息子のアンタがいるし。ジオン様は?奥様は?」

「…いない。母さんが立てた二人の墓にも行ったから、確実だ」

「…そう」


期待を宿らせた瞳から少し光が失せた。

それを見たアレンはやりきれない気分になる。


「ナティアは…」

「…母さんもいない」

「……………。そっか…」


俯くハルア。

普段気丈な分受けたショックは大きいだろう。


意気消沈する彼女の手を、アデルが慰めるようにきゅっと握った。




< 328 / 500 >

この作品をシェア

pagetop