レヴィオルストーリー3
「精霊は自分が認めた人にしか、名前は教えないの」


──…だから、もう少し大きくなったら自分で聞きなさい。


遠回しにそう言われたと気付いたリルムは、試しに猫をじっと見てみた。

しかしそういう意思を持っているのがわかるのか、移動の精霊は彼女の腕から抜け出してしまう。


「あ…」

「すぐには無理よ」


フッと精霊が消えた場所を落ち込んで見下ろす。

レイは彼女を優しく慰めた。


俯いた少女は小さくありがとうと呟くと、ぱっといつもの顔に戻って「あたし帰るっ」と声を張り上げる。

ずんずん歩き出したリルムにユーリは慌て、レイにさよならを言うと小さな後ろ姿目指して駆けていった。



「……やる気出たみたいね」


きっと帰って一番に精霊の勉強をするのだろう。

リルムの負けず嫌いな性格をよく知る彼女は、クスリと笑って二つの影を見送った。


それから彼女はさっき見ていた場所に目を戻し、真顔に戻る。





< 359 / 500 >

この作品をシェア

pagetop