レヴィオルストーリー3
「ダミーっていうのはにせ物。悪魔は血を得た相手の姿形に完璧になれるの」

「…そんくらい魔法でなれないか?」

「悪魔の場合はもっと精密。声とか指紋までそっくりそのままその人っ」


自分の指を見せながら言うグロア。

それを聞いたアレンは苦い顔をした。


自分のにせ物なんざ現れたら、凄く嫌だ。


旅の途中のあの忌々しい記憶が蘇る。

気味の悪い球体、にせ物の母、自分との戦い。


それから、…レイと力を合わせて脱出したこと。




「…………………。」

「アレン?顔赤くない?」

「………なんでもない」


思えばあの頃はもう惚れてたかも、なんて考えた自分が恥ずかしくなり、アレンは目を逸らすと王座から立ち上がった。


窓まで歩き、じっと東の空を見つめる。



「…ルネのにせ物が、ヘレヴィアにいるのか」

「………うん」

「だから、戻れば自分がにせ物扱いされる?」

「………そうよ」


無表情だったルネは少し俯いた。

想像でもしてしまったのか、微かに震えている。


いくら気が強かろうが物事に無関心だろうが、やはりまだ幼い少女。


不安なのが手にとるようにわかり、アレンは深く眉間にシワを寄せた。





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