レヴィオルストーリー3
嬉しそうに短剣を腰に収めるその人。

アレンはその言葉を聞き、一気に警戒心を強めた。


「…名前は」

「ん?」

「アンタの名前」


正体不明のこの男性が、ラレスカに立ち寄った張本人。

一体何の為にそこへ行ったのか、聞き出さなければ。


「ああ、僕?クルーズって言うんだ」

「…クルーズ、さん。その短剣、北の大陸で拾ったんです」

「あー、あの時か!もしかして防御魔法がかかってたところ?」


何でもなさそうに言う男性、クルーズ。

アレンは目を細め頷いた。

どうしてそこに、と訊ねる。


「どうしてって…。僕、カメラマンなんだ。それで北をさ迷ってたらあそこに着いて…」

「…たまたま?」

「そう。短剣は護身用さ。こういう場所って獣が出るだろ?」


言いながら短剣を示すクルーズに、アレンは溜め息をついた。

まさかたまたまあの場所に辿り着く人間がいるとは。

後ろでクルーズに飽きたのか動物と戯れるルネの気配を感じながら、アレンは男性にまた質問をする。


「いつもはどこに住んでるんですか?」

「ん?家はないよ。旅してまわるフリーのカメラマンさ!君、積極的だね」

「…………………。」



うざい。






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