レヴィオルストーリー3
思案する中にとぼけた声。

ぱっと振り向いたアレンに、ルティはニカッと人の良い笑みを浮かべた。


「まだ城にいるのに私物だけポイポイ戻したら面倒だからってほざいてたしな。退任式の日に臣下が一階に運んでたぜ!」


自信満々に言うルティにイルがぱあっと笑顔を開かせる。

彼女は身を乗り出すと弾んだ声色で言った。


「じゃあっそれより前に行けば…」

「あぁ、どっかにある筈だ」


力強く言う海賊王。

訊ねたイルは嬉しそうに勇者を振り返った。

アレンは「わかった、ありがとう」と呟くとローレムに向き直る。

それから何か考え、ちらりとルティを見上げた。

ニコニコしている彼。



「………ルティ」

「おぅ、なんだ?」

「…ちょっとキツいかもだけど。行くのは退任式の日で、いい?」

「…んん?」


どうやらアレンの言いたいことがわからないらしい。

ルティは眉を寄せると唸って首を傾げる。


「アレン様、退任式の日に行くよりその前日などに向かった方がいいんじゃないですか?」


マケドニスも言う中、海賊王は何やら思い付いたのか一人目を見開いた。

それからアレンを見ると真剣な眼差しで頷く。




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