レヴィオルストーリー3
アレンはそのままにじりにじりと慎重に声のする方へ向かった。

何せそれは目的地の方向。

一応反省したくせに引き返すのはめんどくさいらしい。


そうしている間に、とうとう声がする一番近いところに来た。

今や四足歩行している(仮にも)44代目勇者。


彼はちょっぴり気になったのか、少しだけ茂みから顔を出した。

そうして見えたのは自分に背を向けて座る二人の男。



「………あ、」


そのうちの一人を見て、アレンは思わず声を漏らしてしまった。

慌ててまた頭を引っ込める。



「……ん?」

「? どうしました?」

「いや…気のせいか」


振り向いた男性に心臓がドクドク暴れだす。


首を傾げ揺れたその人の髪は、…曖昧な黒と灰の中間色。

藍色の瞳もその髪も、…写真で見たままの彼。



「変なウィスカ様…」

「変とは何だ変とは」


言葉とは裏腹にケラケラ笑う、その人こそ。



レヴィオル国第42代目勇者。



──…アレンの父である、ウィスカ=ブロドニスだ。




彼は隣の黒い髪の男性とまた前を向くと、そちらにある城を眺める。







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