レヴィオルストーリー3
苦笑いするウィスカ。

男性も小さく笑い、それから騒がしくなってきた城を振り向いた。

同じようにそこを見る主人に、ふと気になったことを訊いてみる。



「何故クルーズ様を後任に?」

「ん?アイツは強いからな。下手したら俺よりも」

「まさか。貴方にボロ負けした相手ですよ?」


真面目に答えてください、と男性は少し拗ねたように言う。

ウィスカは「俺は至って真面目だ」と返してやると、城を眺めつつ言葉を選んでいった。



「…アイツには何か強い力がある。それに加えてあの強い目。きっと何かしてくれるさ」

「…そうですか。私はあんまり好かないんですけどね」

「…確かに強さにこだわりすぎだけど…俺はいつかわかってくれると思ってる」


だからそれまでは側近のお前が何とかしてやれ、と素晴らしい笑顔と共に42代目勇者は男性の背を叩いた。

それに対しわかってますよと苦笑いする男性。




(…ん?)


茂みの中、微動だにせず話を聞いていたアレンはふと首を傾げた。


今、側近と言ったような。


この誰かわからない男性が、ウィスカの側近?


彼の側近は、確か──…





「…本当はな、お前を後任にしようと思ってた。けどメディン、お前にも女がいるしな」







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