レヴィオルストーリー3
29.父
「まぁまぁ、座れよ」
──…どうしてこんなことになっているのだろう。
目の前には自分と同じ髪を持つ彼。
草木の中、お互い葉を服やら髪やらにつけての対談。
誰がこんなことを予想しただろうか。
ちなみに座れと言われたアレンだが最初から腰を下ろしている。
やっぱり天然なのか、などと考えていたが、突如話しかけられそんな余裕は消え去った。
「なんでここにいた?」
「え…っと、探し物…」
優しく微笑むウィスカに、アレンは戸惑いながら答える。
なんたってはじめての父との会話。
あちらはわかっていないかもしれないが、アレンからしたら今までの人生の中で、指で数えられる程の一大事だ。
が、そんなこととは露知らず、ウィスカはまた質問を重ねる。
「探し物…。そうか。お前名前は?」
「、ギルク」
咄嗟に出たそんな名前。
口から飛び出たのは、ありもしないでっち上げの嘘だった。
まさか「貴方の息子です」だなんて名乗れる訳もなく、一番に思いついた名前をアレンは吐いたのだ。
そしてそんなでまかせに騙され、「ギルク君かあ」とニコニコする42代目。
変に冷や汗をかきまくって、いつもの余裕がない44代目。
どうやら夢の共演、みたいな素晴らしい展開にはなり得ないらしい。