レヴィオルストーリー3
よほど揺れているのか、アレンは俯き石を見つめると目を閉じた。

──…本当は今すぐにでも、レイを助けたい。


けれどこれは、一生で一回あるかないかの機会。


今自分本来の時代に戻れば、きっとこの先知れることはないのだろう。



「……レイ…」


(…ごめん、ちょっとだけ待ってて)



後悔は、したくないから。




「……ルティ」

「お?」

「…もう少しだけ。俺…」

「ああ、わかってる」


ニッと笑んだルティはアレンの頭に手を置いた。

そうして気付く。


(……背、伸びたな)


大きくなっている。


身体的にも、精神的にも。




「……………………。」


一方ぱちくりと瞬きしたアレンは、ルティを見上げるとふっと笑った。


「ありがとう」

「……おう」


その笑顔のそっくりなこと。

ルティはわかっていながらも一瞬錯覚してしまった。


同時に自分にもこんな笑顔を向けてくれるようになったのだ、と嬉しくなる。



「そうと決まったらまず実行だな!けど誰にも見つからないようにしないと」

「…なら魔術で気配消し…、あ、…駄目か」


先程魔力は目立つから、と拒否したばかりなのを思い出した。

考え込むアレンとルティ。


ルティのそんな姿滅多にお目にかかれない。




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