レヴィオルストーリー3
ぞくぞくした。

戦いを、見ているだけで。



(……父さん…)


彼と一緒にいたい。

彼ともっと話したい。

彼と剣を交えてみたい。



…けれどそれは、叶わない。










異変が起きたのは、それから少し後だった。




「かはっ…」



魔王に向け剣を振り上げていたウィスカが、急に咳き込む。


何事だとアレンとルティが目を見開けば、彼は血を吐いていた。



「!? 父さ…」

「きゃうんっ!」


思わずルルを抱く腕に力をこめてしまったらしい。

犬は小さく悲鳴のような鳴き声をあげる。

慌てて離してごめんと撫でてやると、ルルは頬を舐めてきた。


大丈夫だ、と言いたいのだろうか。




「は…?」


一方、自らの口元に手を宛てたウィスカは目を見開く。

それから恐る恐る下に顔を向けた。


すると。



──…自分の左胸から突き出る、刃物。



それが見えて、更に目を見張る。


バッと後ろを振り向けば、そこには。





「クルーズ…?」




無表情に短剣をウィスカに突き刺す、──…43代目勇者。






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