レヴィオルストーリー3
「43代目勇者のことは、ご存知ですか?」
あくまで機械的に、単調にアレンは問うた。
事情を知らないマケドニスは、この主人の問いかけに何故いきなりそんな質問を?と戸惑う。
不思議に思っているのが顔に出ていたのか、教皇も困ったようにマケドニスを見た。
「43代目…?あの、魔王が現れたときに亡くなった?」
「はい。…お会いしたことは?」
「ありませんわ。名前もよく存じませんし…」
知りもしない人のことを訊ねられても、答えようがない。
教皇は頭をゆるく横に振り、それを示した。
アレンはそうですか、と相槌をうち、瞼を下ろす。
思い出すのは、…先程見た父の最期。
再び目を開くと、心配そうに自分を見る母の親友が碧のそれに映った。
これ以上不安がらせる前にと、アレンは意を決して彼女に伝える。
「…43代目は生きています。そして、彼があの短剣の持ち主」
目の前で教皇の異質な白い瞳が、ゆっくりと驚きに見開いていった。
隣でマケドニスも、え、と戸惑いの声を上げる。
それを聞きながらも、アレンは頑なに真っ直ぐ前を見た目を逸らさない。
思考は、彼らの反応ではなく別のことでいっぱいだった。