レヴィオルストーリー3
つらつらと話すアレンの表情からは、その心情は窺えない。
ただでさえレイがああなっている今、そうでなくとも悪魔の一件で気が立っているだろうに。
「短剣の話はそれだけ。この騒ぎが収まったら、あいつは指名手配するつもりです。…俺の、独断ですけど」
最後に少し語尾を弱めた主人に、マケドニスは胸を痛めた。
そんなところで我慢しなくていい。
確かにもう人にすがり泣きつく歳ではないけれども、辛いのならぶつけてくれればいいのに。
そこまで思って、はたと気付く。
(…ああ、そうか)
この人のすがり付く人は、彼の愛しいあの少女なのだ。
その彼女も、今や彼の心配事の一つ。
皮肉なものだと思うと同時に、早く帰ってきてくれと願わずにはいれなかった。
「…私は、貴方に全面的に協力しますわ。レイちゃんのことも、その43代目のことも」
そう絞り出したかのような声を出した教皇は、まるで自分が哀しい目に合ったかのように顔を歪める。
それに気付いたアレンは、苦笑すると礼を言った。
自分のために、ここまで胸を痛めてくれる人がいる。
胸の内を晒すのが苦手な自分には、それだけで十分だ。