レヴィオルストーリー3

つらつらと話すアレンの表情からは、その心情は窺えない。

ただでさえレイがああなっている今、そうでなくとも悪魔の一件で気が立っているだろうに。



「短剣の話はそれだけ。この騒ぎが収まったら、あいつは指名手配するつもりです。…俺の、独断ですけど」


最後に少し語尾を弱めた主人に、マケドニスは胸を痛めた。


そんなところで我慢しなくていい。

確かにもう人にすがり泣きつく歳ではないけれども、辛いのならぶつけてくれればいいのに。


そこまで思って、はたと気付く。



(…ああ、そうか)


この人のすがり付く人は、彼の愛しいあの少女なのだ。

その彼女も、今や彼の心配事の一つ。

皮肉なものだと思うと同時に、早く帰ってきてくれと願わずにはいれなかった。



「…私は、貴方に全面的に協力しますわ。レイちゃんのことも、その43代目のことも」


そう絞り出したかのような声を出した教皇は、まるで自分が哀しい目に合ったかのように顔を歪める。

それに気付いたアレンは、苦笑すると礼を言った。



自分のために、ここまで胸を痛めてくれる人がいる。


胸の内を晒すのが苦手な自分には、それだけで十分だ。





< 490 / 500 >

この作品をシェア

pagetop