レヴィオルストーリー3
「…何」
隣に立ったそいつに、アレンは顔を向けることなく訊ねた。
マケドニスはふんと鼻を鳴らし、はっきり言い張る。
「ちゃんと言って下さい」
「…………………。」
「そんなに俺が頼りないですか」
そう問えば、その言葉にはゆるりと首を振って否定の意を表した。
それから何を思ったか苦笑したアレンは、そっと冷たい石を撫でる。
「…俺が旅に出たのはさ」
――…静かに紡がれる言葉。
そっとその横顔を盗み見れば、予想とは反して穏やかな主人の表情。
驚いたマケドニスは、それを押し殺して彼の言葉を逃さないように聞き耳をたてた。
それに気付いているのかいないのか、アレンは滴る水も気にせず囁くように言う。
「…魔王を倒す為なんかじゃなかった」
「…………………。」
「誰にも言ってないけど…ルティは察してるだろうな」
いつもより饒舌な青年。
マケドニスは黙って話を聞いていた。
アレンは口元に小さな笑みを浮かべると、墓の上を滑っていた手を止める。
「…父さんを見つけたかったからなんだ」
「…………………。」
「当てはなかった。だから形見の剣を持って、色んな場所を巡った。でも…」
そこで言葉を切ると、アレンは剣を鞘ごと腰から抜き出した。
それを眺めながら、ゆっくり目を細める。