レヴィオルストーリー3
「いなかった。どこにも…」
「…………………。」
「最後の望みで魔王がいるノスラムシティを考えてたところで、もう死んでるって知った」
そう、それはまだパルス村が“名もない村”だった頃の話。
そこで出会いその事実を伝えた海賊は、今も自分の傍にいる。
「墓すらなかったから、もう無理なんだと思ってたけど」
ふっと微笑を溢したアレンは、形見のそれから下へ視線を逸らす。
真っ白な石を見つめる碧の瞳は、様々な感情をたたえ雨の中に輝いていた。
「……最初に来た街で、会ってたんだな」
静かに落とされる言葉。
マケドニスは黙ってその背中を見守る。
…下手な言葉はかけられない。
第一にそんなこと、彼は望んでもいないだろう。
「父さん」
先程までの言葉は、果たして誰に向けたものだったのか。
今度は目の前に眠る片親に語りかけ、アレンは微笑った。
「また、剣借りる。今まで支えてくれた仲間を、アイツを、助けないと」
それが終わったら、きちんと墓を建て直すから。
一方的に約束し、アレンは最後に両手を合わせた。
マケドニスは突っ立ったまま、それが終わるのを待つ。