レヴィオルストーリー3

「いなかった。どこにも…」

「…………………。」

「最後の望みで魔王がいるノスラムシティを考えてたところで、もう死んでるって知った」



そう、それはまだパルス村が“名もない村”だった頃の話。



そこで出会いその事実を伝えた海賊は、今も自分の傍にいる。





「墓すらなかったから、もう無理なんだと思ってたけど」



ふっと微笑を溢したアレンは、形見のそれから下へ視線を逸らす。

真っ白な石を見つめる碧の瞳は、様々な感情をたたえ雨の中に輝いていた。




「……最初に来た街で、会ってたんだな」



静かに落とされる言葉。


マケドニスは黙ってその背中を見守る。




…下手な言葉はかけられない。


第一にそんなこと、彼は望んでもいないだろう。






「父さん」



先程までの言葉は、果たして誰に向けたものだったのか。


今度は目の前に眠る片親に語りかけ、アレンは微笑った。





「また、剣借りる。今まで支えてくれた仲間を、アイツを、助けないと」



それが終わったら、きちんと墓を建て直すから。




一方的に約束し、アレンは最後に両手を合わせた。


マケドニスは突っ立ったまま、それが終わるのを待つ。






< 496 / 500 >

この作品をシェア

pagetop