レヴィオルストーリー3
第二章◆
ほの暗い空。
鬱蒼と覆い繁る樹木は冷たい風にカサカサと葉を擦り合わせ、何とも不気味な雰囲気を醸し出している。
普通なら夜になど絶対行きたくないそんな場所に、立ち入る影が一つあった。
草木を掻き分け目的の場所まで来ると、膝をつき目の前にあるモノを睨む。
「ックソ…」
そいつは小さく呟くと、拳を地面に叩きつけた。
ギリッと歯を鳴らして憤怒の形相を浮かべる。
「東大陸まで飛ばしやがって…!何てやつなんだ…」
そう言い銀色の髪についた葉をとり、悔しそうに舌打ちすると前にある黒い扉に手をかけた。
──…ここから先は自分の住む国。
行けば任務を失敗したことからあの方に怒られるのはわかっている。
わかっている、が、報告しなければならない。
「…待ってろよ勇者。いつか仕返ししてやる…」
男はそう囁くと扉を開きその中に消えていった。
扉はそこから消え去り、後に残ったのは気味の悪いたくさんの樹々だけ。
何の変わりもない森。
しかしここから、大きな波乱がはじまろうとしていた──…