大好きだよ。
大好きだよ。
気づいたら、彼女が泣いていた。
何度も何度も何度も、俺の名前を呼びながら、泣いていた。
「もうやめろよっ」
そう叫ぶけど、彼女の耳には届かない。
彼女はまた俺を呼ぶ。
俺はもう、その言葉に応えることはできないのに。
「はるか」
俺じゃないやつが、彼女の名を呼んだ。
俺じゃないやつが、彼女に寄り添って肩を抱く。
「人の女に触ってんじゃねぇよ」
そう叫びたかったけど、飲み込んだ。
どうせ誰にも届かない。
代わりに、呑気に笑って額縁に収まっているバカな男を睨み付けた。
なんでお前笑ってるんだよ。彼女が泣いてるのに、他の男に触られてるのに、なんで、そんなところにいるんだよ。
「何で死んでんだよ、俺……」