異風人
「今日は、波紋について講義をする。諸君等もよく知っているように、澄み切った水面に石を投ずれば、波紋が広がる。この場の局面において、水面とは何か……?私の講義を真剣に受けている諸君等のように、汚されていない純真さが水面であるといえる。それでは、石を投じるのは誰か?それは教育者である。今日の出席者は少数であるが、私の投じた石の重みが諸君等に伝わり、諸君等個々人に伝わった石の重みが、波紋となって更に広がるのである。石の重みは、教育者の知識の豊富さの如何にかかわっている。波紋の大きさは、石の重みに比例するのである。石の重みは、偉い人の話しを聞き、本を読むことによって増す。私の講義を受けた者は、その重みを体得することができるのである。いいかね諸君!諸君等は、幸せ者というべきである。」
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