Night Walker
「それは誉め言葉?」
舞の言葉に、津那魅はクスッと笑うと、舞は自分の言動に、歯が浮く様な恥ずかしい言葉がある事に気付き、頬を赤らめた。
『私ったら、すぐ思った事を口にして……馬鹿ね……。けど、津那魅さんから見れば、人に見えると言う言葉は、誉め言葉になるのね……あっ、でも綺麗な男の人とも言いましたわ……』
そうとめどなく考えて、舞はその表情をクルクルと変えた。
『表情が良く変わる……』
津那魅の脳裏に、同じ様に笑う少女の顔が浮かんで消える。
そんな己の未練を嘲笑い、津那魅は舞を見つめ直した。
『誰かに似ていると思えば……成る程……あれに似ているか……』
津那魅を粛正者にした張本人。
彼女は、死した今でも津那魅をがんじがらめに縛り付け、粛正者と言う立場から解放しない。
粛正者の命は、主である巫女と共に在ると言うのに、彼女は自分と共に彼が滅ぶのを是(ぜ)としなかった。
『生きていてほしい』
それが、彼女の想いであり、願いだった。
舞はそんな彼女に、容姿が良く似ていた。
津那魅は軽く息を吐くと、
「どこまで話したかな……」
と囁くように呟いて、「あぁ、そう……」
「私もNight Walkerだと言った所までだったね」
と、にこやかに笑って言った。
まるで、わざと作った様な笑い方。
心の伴わない笑いだった。
「まぁ……至極尤もな話ですが、吸血鬼から大事なものを奪う訳ですから、正面(まとも)な人間では太刀打ち出来ませんよ」
新しい紅茶を玲子に入れてもらった津那魅は、一口すすり息を付いた。
舞は今までの経緯を津那魅から聞いて、目を白黒させていたが、何とか気持ちを静めると、
「助けて下さって有難うごさいました」
ペこりと頭を下げた。
だが、表情は暗い。
「一つ聞いても良いでしょうか?」
舞の問い掛けに、津那魅はうなづくと、
「私が答えられる範囲でなら、なんなりとどうぞ」
そう言って、脚を組み替えた。
舞の言葉に、津那魅はクスッと笑うと、舞は自分の言動に、歯が浮く様な恥ずかしい言葉がある事に気付き、頬を赤らめた。
『私ったら、すぐ思った事を口にして……馬鹿ね……。けど、津那魅さんから見れば、人に見えると言う言葉は、誉め言葉になるのね……あっ、でも綺麗な男の人とも言いましたわ……』
そうとめどなく考えて、舞はその表情をクルクルと変えた。
『表情が良く変わる……』
津那魅の脳裏に、同じ様に笑う少女の顔が浮かんで消える。
そんな己の未練を嘲笑い、津那魅は舞を見つめ直した。
『誰かに似ていると思えば……成る程……あれに似ているか……』
津那魅を粛正者にした張本人。
彼女は、死した今でも津那魅をがんじがらめに縛り付け、粛正者と言う立場から解放しない。
粛正者の命は、主である巫女と共に在ると言うのに、彼女は自分と共に彼が滅ぶのを是(ぜ)としなかった。
『生きていてほしい』
それが、彼女の想いであり、願いだった。
舞はそんな彼女に、容姿が良く似ていた。
津那魅は軽く息を吐くと、
「どこまで話したかな……」
と囁くように呟いて、「あぁ、そう……」
「私もNight Walkerだと言った所までだったね」
と、にこやかに笑って言った。
まるで、わざと作った様な笑い方。
心の伴わない笑いだった。
「まぁ……至極尤もな話ですが、吸血鬼から大事なものを奪う訳ですから、正面(まとも)な人間では太刀打ち出来ませんよ」
新しい紅茶を玲子に入れてもらった津那魅は、一口すすり息を付いた。
舞は今までの経緯を津那魅から聞いて、目を白黒させていたが、何とか気持ちを静めると、
「助けて下さって有難うごさいました」
ペこりと頭を下げた。
だが、表情は暗い。
「一つ聞いても良いでしょうか?」
舞の問い掛けに、津那魅はうなづくと、
「私が答えられる範囲でなら、なんなりとどうぞ」
そう言って、脚を組み替えた。