Night Walker
『何故……』


何故そんなに私に親身になってくれるの?

そう聞きたくて、でも怖くて聞けない舞。

義務と役目。

それが理由だと言われるのが怖くて、舞は津那魅に、それ以上聞く事が出来なかった。


津那魅の表の顔と、裏の顔。

舞は、今だに把握することが出来なかった。








「さてと……」


話は終りかと思った津那魅が、ソファーから立ち上がった。


「仁。送り狼に成らぬよう頼みましたよ。くれぐれも間違いの無いように」

「つーちゃん……。お子様相手になんの間違い……」


がっくりと肩を落とす仁に、津那魅がうっすらと唇の端を上げる。


「私は、間違っても舞さんをさらわれてしまわないよう、と言う意味で言ったのですが、なんの誤解ですか?」

「つーちゃんも負けず劣らず人が悪い……。これなら十分、ドラクと渡り合えるよ……」


トホホと肩を落とし、ふさぎ込む仁を津那魅は笑いながら叩くと、


「私が調べ物をしている間、彼女を頼みましたよ」


くれぐれも、と付け加えて仁を見た。

彼もニカッと笑って、


「まかせなって。ちゃんと報酬に見合った働きをしてやるよ。なっ、舞ちゃん」


最後に、舞に話を振って笑顔を見せた。

これから長い一日の幕が上がる。

彼女の数奇な運命が、今まさに開けようとしていた。







時は満ちた。

二人のNight Walker達の、命を賭けた戦いの幕が、切って落とされようとしていた。


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