Night Walker
夜の帳も随分前に降りて、天にやけにハッキリと星々が瞬く夜。

それはこの世界で、Night Walkerと呼ばれる者達の行動が、活発になる時間帯でもあった――。

1965年6月。

帝都東京は、今日も変わらぬ日々を繰り返していた。

私達の知る東京とは少し変わった世界。

時代も、時間も、大きく違ううえに、この東京には私達の住む世界と違って、魔物と呼ばれる者達が暗躍している。

彼等は、いつの間にかここにいて、悪しき者もいれば善い者もいる。

そこは人間と何ら変わりはしない。

だが、人より遥かに強い彼等は、人の命をもてあそぶ。

そんな悪い輩を、人は手にあまらせて、ある男に泣きついた。

遥か昔からこの東京に根を下ろす一族の末裔。

唯一、人と交わりし一族。

焔を生み出し操る力を持つ、魔人と呼ばれる一族の魔の力を持って、人の女の腹から生まれし子。

一族最強にして最後の子供。

その子が生まれて、今年ではや、400年。

彼は今宵も、人からの依頼によって夜の闇をさ迷う。

悪しきNight Walker達を裁く為に――――。








そんな夜と化け物のいる世界。

それを除けば、この世界は余り私達が住む所と、何ら変わりばえはしない。


ただ、今が高度成長をたどる、激動の時代だと言うことを除けば――――。


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