心配しないで。



そう伝えたくて口を一生懸命動かすと、君は僕の手を握って首を横に振る。


君の声とは違う声が微かに聞こえた。



ざわざわ騒ぐ声と、泣き叫ぶ幼い子供の声。




…そうだ、あの子は…?



ボールを取ろうと道路に飛び出して来たあの子は、大丈夫…なのかな?

ちゃんと…僕はあの子を守れた、のかな?




僕の気持ちを察したように、君が僕にあの子は大丈夫だったよ…って言ってくれた。



そっか…あの子は大丈夫だったんだ、良かった…。





僕が安心したように息を吐けば、君がまた顔をくしゃくしゃにして涙を流す。



君の涙が僕の頬に、雨の様に降り注ぐ。




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