私立米泥高校2年F組~comedy high school~

 このカフェの詳しいことは誰もしらない。


 リェンだけがすべてを統括しているのだ。


「マリオ、俺、コーヒー。」


 長沢が夢樹の隣に座って、静に自分の隣の椅子をすすめた。


「しずかちゃん、なんでもあるよ。


なんでも言ってみな。」


 しずかはおずおずと椅子に座りながら、


 マリオの方を見た。


 マリオは微笑みを浮かべながらしずかを見ている。


「じゃ、じゃぁ、カフェオレで…


お願いします。」


「オーケー、ガールズ。」


 マリオは音もなく準備を進める。


「そう言えば夢樹、


あなたのお兄様元気?」


 部屋の奥の赤いべロアのソファに座ったリェンが口を開く。


「え、春樹が?ふつーだよ。」


 夢樹はさっそくでき上げった抹茶フラペチーノに舌鼓を打っている。


「春樹さんがどーしたんすか?」


 長沢がイスを回転させながら言った。


「ふふふ、ちょっとネ。」


 浅岡 春樹、夢樹の実の兄だ。


 長沢のコーヒー、


 しずかのカフェオレがならんだ。


「うわぁ、このカフェオレボール、かわいい」


 しずかはカフェオレボールを軽くかかげて言った。


 一口飲んで、さらに声を上げる。


「おいしい!今まで飲んだ中で一番おいしい!!」


 マリオはバカラのグラスを真白なフキンで磨きながら微笑んだ。


「マリオのコーヒー飲んで、俺なんか、


他じゃコーヒー飲めないもん。」


 長沢はブラックならではの香りを楽しみながら言った。
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