私立米泥高校2年F組~comedy high school~


「じゃ、あたし、行くわ。」


 リェンはハイヒールを鳴らせてCAFEを出て行った。


 すかさず、長沢が、マリオの顔を一瞥してこういった。


「まーぁた、たんかあったっしょ?」


 マリオは肩をすくませただけで、


 生クリームの入ったボールをかき混ぜていた。


「なにそれー!」


 夢樹が口の周りを抹茶色に染めて、


 カウンターをのぞく。


「オー、シフォンケーキにかけるんだよ。


 今日は素敵なリトルプリンセスもいるからネ」


 マリオにウィンクされ、


 しずかはその目力に耐えられないのか、


 大きなカフェオレボールに顔をうずめた。


「わーい!ケーキだぁ!!」


 夢樹のおちゃらけた声が上がるのと同時に、


「じゃ、おれはこのへんで。」


 長沢が背の高い椅子からたいして苦労もせず、


 立って、手を挙げた。


「マリオ、サンキュゥ」


「おい、ゲロ介、どこいくんだ?」


 夢樹が口元をマリオから手渡されたフキンで拭いながら尋ねた。


 長沢はゲロ介と呼ばれたことには触れず・・・


 それにはエピソードがあるのだが。


「ちょーっと、あるばいと、ね」


 と、へらり、とわらって出て行った。


「長沢くんって、どんなアルバイトしているの?」


 しずかが夢樹にきくと、


 夢樹はフフンと鼻をならしながら、


「夢を売るのよ、彼は♪」


 と、不敵に笑った。


 マリオも、


「オー、ドリームス!」


 と、おどけて見せた。
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