月と太陽の事件簿5/赤いランドセル
達郎は再び唇を尖らせ、そして視線だけをあたしに向けた。
「なーに、気になることでもあるの?」
視線に混じった、穏やかでない気配を感じ取ったのは、お目付け役をつとめるうちに得た特殊能力だ。
別に欲しくなかった能力だが。
「気になることじゃなくて、気に入らないことだらけだ」
達郎は頭をかいた。
「言いたいことはわかるわよ」
だからあたしもアリバイ成立に関しては「一応」と言ったのだ。
舟本の証言はハッキリ言って穴だらけだ。
舞台が大昔のミステリー小説ならともかく、現代ではまったく通用しないだろう。
「でもね、物的証拠がなにもないのよ」
現場から第3者のものと思われる指紋は検出されなかった。
遺留品も、足跡もなし。
「目撃証言は?」
「向こう3軒両隣とも、目撃証言は一切なし」
「不景気とはいえ、平和なのが取り柄だからな、この国は」
まったくもって同感。
「なーに、気になることでもあるの?」
視線に混じった、穏やかでない気配を感じ取ったのは、お目付け役をつとめるうちに得た特殊能力だ。
別に欲しくなかった能力だが。
「気になることじゃなくて、気に入らないことだらけだ」
達郎は頭をかいた。
「言いたいことはわかるわよ」
だからあたしもアリバイ成立に関しては「一応」と言ったのだ。
舟本の証言はハッキリ言って穴だらけだ。
舞台が大昔のミステリー小説ならともかく、現代ではまったく通用しないだろう。
「でもね、物的証拠がなにもないのよ」
現場から第3者のものと思われる指紋は検出されなかった。
遺留品も、足跡もなし。
「目撃証言は?」
「向こう3軒両隣とも、目撃証言は一切なし」
「不景気とはいえ、平和なのが取り柄だからな、この国は」
まったくもって同感。