月と太陽の事件簿5/赤いランドセル
みな真新しいランドセルが春の陽射しを受けて光っている。

「みんな一年生かしら」

子供がランドセルしょってるのかランドセルが子供を抱えてるのかどっちかわからないぐらい可愛い。

「今日はあちこちで入学式あったからな」

そういや舟本もそれ話題にしてたな。

そのことを達郎に告げると「使えるかもなソレ」と言った。

「使えるって…」

なに?と訊こうとした時下校中の一団から女の子がひとり離れた。

彼女の背中にも勿論ピカピカのランドセル。

女の子はバイバイと手を振ると、舟本が住むマンションへと入っていった。

あたしたちもそのコの後に続く。

「あら…」

あたしは目を丸くした。

「どうした、レミ」

「あのコ、舟本のお隣りさんだったんだ」

舟本の住む部屋よりひとつ奥の部屋。

そこへ女の子は「ただいま!」と元気な声を出して入っていった。

「ちょっとした偶然ってヤツかしら」

達郎に同意を求めたが、返事はなかった。

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