月と太陽の事件簿5/赤いランドセル
「結構です。ではその電話は何でかけましたか」

「自分の携帯からです」

「なぜ家の電話ではなく携帯でかけたのですか」

「携帯には番号登録してありますが、家の電話にはしてないもので」

「なるほど。ではその発信記録は残ってますか」

もちろんと言って舟本は自分の携帯を見せた。

精神科に電話したのは事実なのだ。

舟本はあくまで堂々と振る舞うことにした。

「わかりました」

月見は携帯の履歴を見てうなずいた。

「ところで舟本さん、犯行時刻はご存じですか」

月見の問いかけに対し、舟本はうなずいた。

昼のワイドショーで報道されてたのを見ていたからだ。

「それなら話は早いですね」

それを告げると月見は満足そうにうなずいた。

もっとも、現場にいた舟本は事件に関しては誰よりも詳しいのだが、それを言うつもりは当然なかった。

「犯行時刻は午前7時58分。これは教授のしていた腕時計から導きだされた時刻です」

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