月と太陽の事件簿5/赤いランドセル
「どれくらい苦手かっていうと、芝居を観てて、舞台にハリボテの桜が出てきただけで卒倒するほどだったそうだ」
「重症ね」
「それだけじゃない。その人がある日、茶の席に呼ばれ、とある部屋に通された」
あたしは無言でうなずいた。
「その部屋に入った途端、その人は息苦しくなって、脂汗が浮かんできたそうだ」
なんか怪談話めいてきたなぁ。
「その家の人は、その人が桜が苦手だということを知ってたので、部屋から桜は遠ざけてたつもりだった」
「でも桜アレルギーが出たんでしょう?」
「そこで調べてみたら、床の間に飾ってあったお盆が、桜の木を彫ったものだったのさ」
すごい話。
あたしは肩をすくめて笑うしかなかった。
「でもその人、桜が苦手ならいまの時期どう過ごしてるのかしら?」
「婆ちゃんが言うには、戸締まりして一歩も外出しないそうだ」
「重症ね」
「それだけじゃない。その人がある日、茶の席に呼ばれ、とある部屋に通された」
あたしは無言でうなずいた。
「その部屋に入った途端、その人は息苦しくなって、脂汗が浮かんできたそうだ」
なんか怪談話めいてきたなぁ。
「その家の人は、その人が桜が苦手だということを知ってたので、部屋から桜は遠ざけてたつもりだった」
「でも桜アレルギーが出たんでしょう?」
「そこで調べてみたら、床の間に飾ってあったお盆が、桜の木を彫ったものだったのさ」
すごい話。
あたしは肩をすくめて笑うしかなかった。
「でもその人、桜が苦手ならいまの時期どう過ごしてるのかしら?」
「婆ちゃんが言うには、戸締まりして一歩も外出しないそうだ」