こゆび
「まあまあ、幸助落ち着いて」

やばいと思って、中間に入った雅貴

「なんで遅れたの」

今度は、雅貴が優しく聞いた。

「いや、翠の着物の帯を絞めるのがうまくいかなくて」

幸助が恐いのか2、3歩引きながら答えた。

「それで、翠は」

まだ、キレ気味の幸助が聞いた。

「あれ、アハハ…おいてきちゃったみたい」

「ったく、あのバカは」

「あれ、幸助怒んないの」
雅貴が不思議そうに聞いた。
「あ〜、まあな、あいつはいつも俺の約束守らないもんだから、もう起こる気にもならん」

「へぇー」

「あたし、一回戻って捜してくる」
そう言って蒼井が行こうとしたが

「あ、俺が行くわ、お前は走って消耗しただろうからな、つか、よく着物で走ったな」

「まあね」

「まあいいや、んじゃ捜してくるわ」
そう言い、翠の家の方に向かった。
< 2 / 39 >

この作品をシェア

pagetop