こゆび
翠が学校に着いた頃には昼休みの最中だった。

「翠」

蒼井が翠を見て飛びついてきた。

「あんた今日大丈夫なの、昨日あんな事があったのに」

「う、うん…、大丈夫気にしないで」

「気にするよ、あんな事あったのに気にしない方がおかしいよ」

「蒼井、声が」

「あ、」

蒼井の声は、クラス中に響きわたって注目を集めていた。

「蒼井、とりあえず屋上行こ」

「え、あ、うん」

2人は、場所を変えるため屋上に向かった。

「ここならいいね」

「あんた、本当に大丈夫なの」

本気で心配している蒼井を見て

「本当に大丈夫だって、蒼井心配し過ぎだよ」

「いや、だってさ」

「大丈夫だって、でも…」
「でも…、何」

一度、グラウンドの方を向き、もう一度蒼井に向き合った。

「約束してほしいことがあるんだ」

「何、どんな約束」

「幸助の事をあたしの前では話さないで」

唐突なことを言われた、蒼井は一瞬戸惑った。
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