こゆび
「おら、お前立てや」

いつもの雅貴からは想像出来ない程の豹変ぶりだ

「ガキが調子にのりやがって」

吹っ飛んだ不良は、起き上がってこちらに突っ込んできた

「うるせぇ」

雅貴が軽く足で流した

「早く行け」

「わ、わかった」

そういい残し、翠はまた走り出した。

もう片方の不良に捕まりそうになったが、蒼井が護ってくれた

今午後4:50
残り1.3キロ

翠のハイペースでギリギリのところだった、

やがて、コンクリートの道ではなくなり、森の中を駆けていた

今午後4:55
残り0.5キロ

翠の体力はすでに限界だったペースもすっかり落ちてしまった。

しかし走り続けた、すると、ようやく一本の桜の木が見えた。

翠は、最後の力をふり絞り走り抜けた。

木の所に着いた瞬間に倒れ込んでしまった。

「ハァハァっきっつ」

倒れ込んだ体を起こし、辺りを見回したが、誰もいなかった。

「そうだよね、誰もいるはずないもんね」

笑いつつも、下を向きうなだれ、つい涙がこぼれそうになった。
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