切恋バスタイム(短編集)
●nocturnal boy
朝一番に見る、眠そうな横顔が好きだ。教科書の何でもないような文章を読む、透き通った声が好きだ。授業中にオレを指名する時に一拍の間(ま)を置く、無意識の癖が好きだ。数えたら、あいつの好きな所なんて沢山あった。もしかしたら、嫌いな所も同じくらい存在するのかもしれないけど。
肌に張り付く制服のシャツが、酷く鬱陶しい。夏はこれだから嫌なんだ。何をする気にもなれなくて、授業を受けるのは勿論、弁当を食べることさえかったるい。早く、夜になれ。昼間は騒々しくて嫌いなんだよ。
ようやく放課後になり、翳り始めた教室で溜め息をつく。これでやっと、二人きりになれる。そう思うと、上がる口角を抑え切れなかった。
親には“友達の家に泊まる”と連絡を入れ、名前を出させてもらった裕一には口裏を合わせてもらう。いつも悪いなと言ったら、「良いんだよ、お前らのこと応援してるんだから」の言葉と笑顔が返ってきた。
肌に張り付く制服のシャツが、酷く鬱陶しい。夏はこれだから嫌なんだ。何をする気にもなれなくて、授業を受けるのは勿論、弁当を食べることさえかったるい。早く、夜になれ。昼間は騒々しくて嫌いなんだよ。
ようやく放課後になり、翳り始めた教室で溜め息をつく。これでやっと、二人きりになれる。そう思うと、上がる口角を抑え切れなかった。
親には“友達の家に泊まる”と連絡を入れ、名前を出させてもらった裕一には口裏を合わせてもらう。いつも悪いなと言ったら、「良いんだよ、お前らのこと応援してるんだから」の言葉と笑顔が返ってきた。