ペトラキネシス
「仮に俺がミュータントだとしても、能力は話さない」
「そりゃそうだろう。
どんな能力を持っているか知られたら、それはミュータントにとっては致命傷だからねぇ」
確かにコイツの言う通り。
だから俺の能力を知られてはならない。俺の能力がバレれば、MDは犯罪の手段を変更するかも知れない。
そうなれば振り出しだ。何とか現状維持で、MDの正体の手掛かりを掴まなければ…
「ところでアンタ、まだ名前を聞いてなかったねぇ。ワタシがMD本人だと名乗っているんだから、アンタが名乗らないのはレディに失礼じゃ無いのかい?」
MDってのは偽名だろうが。俺が本名を名乗るワケにはいかない。前にも言ったが、俺が準ミュータントだということは世間に公表されているからだ。すぐMDに素性を調べられるだろう。
「俺のことは[カル]と呼べばいい」
咄嗟に出た言葉。文字通り、超能力犯罪者を[狩る]から[カル]だ。
名乗るまでに時間を空けなかったから、うまく行けば本名と関係あると思わせられたかもな。
「…カルか。思いっきり偽名だね。ま、いいさ」
MDが受話器越しにニヤニヤしているのが分かる。